ムカデ

二人ともぐったり

昨夜のこと、いつもなら奥の部屋で眠っている時間になっても、僕の部屋の本棚の前にさらに積み上げられた本のところで、けんこう兄弟は何かをほじくって遊んでいる。もう遅かったので、何か見つけたのかなくらいにそれほど気にもせずに僕もY子も眠ったのだが、早朝、Y子が目覚めると、けんこう兄弟、今度は別の部屋でまだカリカリ何かをほじくっているらしい。どうやら一晩中起きていた様子である。いったい何がそんなに面白いのか、何を見つけたのか。そっと覗いてみる(覗いたのはY子であるが)。すると、何と、大きなムカデをけんこう兄弟が肉球でパスパスしているではないか。Y子、悲鳴を上げ、大慌てで靴べらを持ってきて退治にかかる。それを見たけんこう兄弟も慌てて走って逃げる。Y子、大奮闘の末、退治。虫が大の苦手のY子、最近はけんこう兄弟が面白いならと多少は慣れてきてもいたのであるが、さすがにムカデだけは許容できなかったらしい。朝までずっと遊んでいた兄弟、いつもは僕が起きるころには走り回っている時間なのだが、二人とも廊下でつかれきったようにぐったりと休んでいる。そういえば以前にも一度、けんこうが二人とも上を見上げているので何だろうと見ると、天井にやはりムカデが張り付いていたことがあったらしい。いったいどこから入ってくるのか。それにしてもY子によると、けんもこうもおっとりしすぎで、肉球でソフトタッチするだけで、あれではとてもムカデなど仕留められないとか。まあこのおっとりさ加減が、二人の魅力でもあるのだが。