けんこう兄弟の思い出(1)

13年前の4月4日、けんとこうが我が家にやって来たのは、小雨の降る肌寒い夜だった。仕事が終わってからドキドキしながらY子とY地区のキャッテリーYさんのところまで向かう。僕らが持っていった二つのキャリーバッグにけんとこうのどちらかがなぜか自主的にふるふると入り(今となってはどちらが先に入ったのかわからないのだが、性格的にこうかなとも思う)、残されたもうひとりのほうがふるふるしていて「急にひとりになったんで寂しがってるんですよ」とYさんは言った。

 

そうしてけんこう兄弟は我が家にやって来た。その夜、ふたりは家中のあちこちをふるふる探検し、夜中には慣れてきて大運動会になった。初代猫うるを喪った悲しみに暮れていた我が家は、子猫たちのパワーに圧倒され、一気に雰囲気が明るくなった。

 

翌朝、けんこう兄弟は、当時猫部屋にあった洋服スタンドの下でふたりで眠っていた。

 

うちにやって来たとき、けんこう兄弟は3ヶ月半くらい。子猫にしてはものすごく大きいと思ったが、今写真を見るとものすごく小さい。そしてふたりがそっくりすぎてどうやって見分けたらいいのかと思っていたものだが、不思議なことに、当時の写真を見るとはっきりと見分けられるのである。

 

初代猫うる(彼もラグドールだった)は、FIPという難病に冒され、1ヶ月半に及ぶ闘病の末、13年前の3月1日、生後6ヶ月、うちに来て3ヶ月で息を引き取った。けんこう兄弟に出会ったのは、うるを連れて毎日のように病院に行っていた際、ラグドールのキャッテリーをされているYさんがけんこう兄弟たちを連れて病院にワクチンを受けにやって来ていたときである。そのときに、うるもけんこう兄弟に会っている。だから、うるとけんこう兄弟はつながっていると、ずっと思っている。