昨日、帰ってきたけんは、最初こそ物音に驚いたりしていたものの、すぐにリラックスした感じで休み始めた。声をかけると律儀に尻尾で返事してくれるので、ゆっくり眠れないかと思い、途中からは静かにして見守るようにした。
ほんとうにくつろいだ感じで、たまに寝返りとまではいかなくとも、ちょっと動いて楽な体勢をとったりしていた。呼吸も穏やかだ。この様子なら、もうしばらく大丈夫だなと思った。
10時前くらいにY子から電話があり、状況を説明する。そのときは落ち着いていて、今すぐということはないと思うとY子に言った。わかった、とにかく急いで駅からタクシーで帰る。でも、それからしばらくして、けんの呼吸がちょっと早くなってきた気がする。大丈夫?と声をかけてさすってやる。尻尾のお返事はない。その後も声をかけてよしよししてやるが、10時半くらいか、息が荒い感じになる。Y子もうすぐ帰ってくるよ、もうちょっとだけがんばろう!と声をかけ続ける。10時40分くらい、駅に着いたとY子からメール。急いで!と返して、振り向いてしばらくすると手と足をぱっと伸ばして、ちょっとだけ声をあげて(少しだけ涙を流したように思えた)ふっと静かになった。息をしていないように思える。すぐにY子が帰ってきて駆け寄る。けんはまだ暖かい。
それほど苦しまなかったと思う。どうするか悩んだが、家に連れて帰ってきてほんとうに良かった。
昨夕、病院でいったん帰りますと言ってけんに別れを告げたとき、なんとなくけんは帰りたそうな顔をしているように思った。その後、先生といろいろな可能性を相談し、やはり連れて帰ることにした。
けんは、きれいな顔をしていると思った。まだ息をしているように錯覚するが、よく見るともう動いていない。
4ヶ月以上もよくがんばったな。けん、13年間ほんとうにありがとう。うちに来てくれてありがとう。君は僕たちの宝物だったよ。