新タワー

新たわーとけん

けんこう兄弟がわが家にやって来たのは四年前の春。その年の夏に購入し窓辺に設置した大型猫タワー。子供の頃から遊んでいるからか、わが家のタワー群のなかでもふたりとも大のお気に入りで、とくに上部の止まり木には毎朝交代で登り、外の風に吹かれながら飛ぶ鳥をからかったり、道行く人々やクルマを確認したり、わが家に危険が及ぶようなことがないか、じっと外界を見守っていたものである。そのことから、この上部の止まり木は、わが家では「物見台」と呼ばれていたのだが、近年この猫タワーも老朽化が進み、最近は暑さのせいからか、けんこう兄弟がおとなになったということもあるのか、ふたりが登る姿もほとんど見られなくなっていた。

というわけで、新タワーの購入である。四年間慣れ親しんだタワーを解体しているとなかなか感慨深いものがあるが、下部のポールの軸が折れてしまっていたことを発見する。床と天井で突っ張って支えてあるので気がつかなかったが、安定は悪くなっていたのかもしれない。ふたりが登らなくなったのはこのせいだろうか。四年間、けんこう兄弟の大きな体を支え続けてきたのだから、よくがんばったな、部品たちよ。

Y子セレクトの新タワーはなかなかモダンな(?)趣きで、上部の乗るスペースもゆったりとってある。これならふたりともくつろいで乗れるだろうと思いきや、完成してもあまり乗らない。気候がすぐれないせいか、あるいは古いタワーのほうがよかったのか、Y子と二人でちょっとがっかりする。ちょっと窓から遠いからかもしれないなあと触ってみると、いちばん上の止まり木のネジが緩んで安定が悪くなっていた。このせいかと閉めなおし、ついでにいちばん外が見やすそうなポジションを選んで設置しなおし。ためしに起きてきたけんを乗せてみると、あちこち確認したすえ、そのままじっと窓辺を見つめだした。しばらくすると、どこからともなくこうがやって来て、こちらは自主的に乗ってきた。ああ、このまま気に入ってくれるといいのだけれど。

それにしても、今日も一日中雨。雨の日のけんこう兄弟は眠くてだるそうである。早く快適に朝の見張りができるようになればいいな、けんとこうよ。