けんこう兄弟の思い出(3)

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こうしてやってきたけんこう兄弟だったが、積極的で社交的でよくしゃべるこうに対して、けんはどちらかというと奥手で人見知りで控え目な感じで、ふたり平等にと思って接してはいたものの当初はどうしてもこうの名前を呼ぶことが多かったのか、「こうちゃん」と呼ぶと自分のことと間違えたのかけんまでつぶらな瞳で見上げて反応していた。これではいけないと意識してけんの名前ももっと呼ぶようにして、けんもすぐに自分の名前を認識したのだが、ちょっと切ない思い出である。

 

そんなけんだったが、歩いているときにお腹を撫でてやるとものすごく喜んで、よしよしよしよししてやるとごろごろごろごろ言いながらあちこちすりすりして歩く。そのうち、甘えたいときにはお腹を撫でてくださいというように、きゅっとお腹を持ち上げて膨らんだようになるようになった。これが練り歩きの始まりで、それは亡くなる直前まで続いた。

 

けんはこうに遠慮していたところがあったのかなと、こうが亡くなってから思っていたが、いま昔の写真を見ているとつねにふたり一緒に写っていて、ほんとうに仲良しだったんだなと思う。

 

こうが心臓病で亡くなったとき、おわかれだよとけんに言うと、けんはこうの入ったキャリーバッグに体をすりつけておわかれをした。

 

病気になってから急激に痩せてしまったけど、僕にとってのけんは、やはり大きくふさふさで優しい猫だった。僕の中では最後までそうだった。