3月1日

窓辺のこう

3月1日は、うるの命日である。4年前のこの日、うるはわずか5ヵ月半の命を閉じた。あのときは寒い日々が続いていて、1月17日に発症してから1ヵ月半の病院通いの間には、ずいぶん雪も降ったように記憶している。それにくらべると今年は妙に暖かくて何か実感がわかない。今年の3月1日は雨の降る生暖かい一日であった。

夜遅く帰宅して、起きてきたこうと遊ぶ。お気に入りの猫じゃらしやらビニールの紐で作ったボールで。こうは目を真ん丸にして興奮して飛び掛ってくる。いつもはすぐに疲れて休んでしまうのが(狩猟動物としての本能で猫の体力はそう長くは続かない)、昨夜はもう眠そうになりながらも小一時間ばかり遊んだ。

発病していることがわかる二、三日前。ここのところうるが眠ってばかりであまり遊ばないと、退屈しているのではないかと、Y子と僕とでボールを蹴っ飛ばしたり追いかけたりしてうるとたくさん遊んだことを思い出した。発症前ですでに体もだるかったはずのうるは、それでも興奮してあちこち走り回っていて、やはりもっと積極的に遊んでやらないといけないなあと僕はY子と話し合ったものだ。

その数日後、うるは発作を起こし発熱した。最初に行った病院では何度検査しても原因がわからず、さらに数日たった深夜、呼吸困難を起こして大慌てで飛び込んだM動物病院で、FIPの診断を受けることになる。

寒かったという記憶は、末期の日々を一緒に過ごした僕らの精神状態のせいかもしれない。うるが亡くなってから最初の日曜日の朝、これまでのお礼にとご挨拶に訪れたM動物病院は春の光に輝いていたような記憶があるから。

あれから4年。

病院で最初に会ったときにはめちゃめちゃ小さかったけんこう兄弟ももう4歳である。少し忙しくなるとどうしても遊んでやる時間が少なくなるが、毎日少しだけでも時間を見つけてかまってやりたいとあらためて思う。そしてこの日記も続けていこう。うるのことを記録してやるために始めた日記だから。