日曜日

けんです

Y子が所用で帰省しているので、けんこう兄弟と三人で過ごす土曜日の夜。といっても、けんこう兄弟は飯を食ってひとしきり甘えたら眠ってしまうので、静かな夜だ。翌日曜日はクライミングなので僕も早めに休む。ところがなぜかこの日に限って寝つきが悪く、ようやく眠れたかと思うと「けん」がほーわほーわと起こしに来る声で目覚める。時計を見るとまだ三時だ。どうしても起きられなくて声だけかけてまた眠るが、その後も「けん」は断続的に起こしにきていた。

六時。ようやく目が覚めると、ふたりともすでに起きていて、ごはんも空っぽで待ちわびていた様子。「けん」はごはんを食べるとそのまま休んでしまうが、「こう」は寂しいのかあたふたと準備をする僕に付きまとっている。けんこう兄弟と三人だけのときに出て行くのはどうも苦手だ。行ってくるよと「こう」に声をかけると、いつもは玄関まで見送りに来るのに、この日は居間で呆然としている。「けん」はいつものタンスの上でお腹を見せて眠っていたけれど。

というわけで、日曜日は朝からH田人口壁六週目。目標は垂壁のレッドポイントだが、寝不足もあってできるかなあと不安な一本目。しかし、これが意外にもあっさり登れたではないか。まぐれかもしれないので、もう一度トライするが、これまた苦労なく登れる。登れるときはこんなもんなんだなあ、いままでなんでこんなに苦労してたんだろうというくらいにあっさりと。一度登れると次からも簡単に行けるのも不思議だが、そういうものなのかなあ。あんなに苦労してたんだけれど……。

ともあれ、これでようやく正面壁に移動して5.9のルートに挑戦。高さもだいぶ高くなるので緊張感も高まる。集中して準備していると、ちょっとビビッてるんじゃない、顔がこわばってるよとMさん。いや、そらビビッてますよ、ほんまに高所恐怖症なんですから。

まあともかく行けるところまでということで、Tさんのビレイでリード開始。なんとか第三ハングまでは到達したが、やはり少々ビビッて、ここで立ち往生して結局越えられずに敗退。その後も三トライするが、トライごとに到達点も下がっていってああスタミナがないなあ……。

三トライ目では、Tさんに許してもらえずリードでの初フォールも経験。死ぬほどビビッたが、落ちてしまうとああこんなもんかという感じであった。フォールの練習もしないとな。落ちた瞬間は記憶ないけど。

最後はIKさんをビレイしてこの日は終了。まあしかし、ビレイもだいぶ自信持ってできるようにはなった。

終了後は、K駅まで戻ってTさんと祝レッドポイントということで一杯。すでに次の目標が大きく立ちはだかっているのでそれほどめでたいという感じでもなかったが、まあ六週もかかったけれど、あきらめずに毎週通いつめてよかった。何ごとも継続がいちばんである。

夜。すっかり酔っ払って帰宅。けんこう兄弟が玄関まで飛び出してくる。そうこうするうちにY子も帰宅。安心したのかみんなすぐに眠くなって、みんなで早寝。そのせいか、また「けん」が早朝から起こしにくる。いままで僕を起こしに来ることは余程でなければなかったのにどうしたのかな。