十七日

けんの手がこうの頭に…

あれから十四年目の一月十七日。前日、K氏、S氏とともに深夜まで飲みすぎたせいで、二日酔いの頭でぼーっとすごす。久しぶりに暖かな日で、窓を開けるとけんこう兄弟が気持ち良さそうに風に当たっていた。

だらだら過ごした休日に断続的に見た夢。

けんこう兄弟ともうひとり、ちーという名の猫が少し以前にやって来て、そのことをこの日記にも書いたはずなのだが、なぜか僕はしばらくちーのことを忘れていて、けんこう兄弟と一緒にやって来た彼のことを見て、ようやくそのことを思い出す。

僕はY子とワンルームマンションで、けんこう兄弟+四匹の雌猫(さらに二羽の鳥もいたはず)と暮らしている。雌猫は壁一面に並べられたキャリーの中で、みんなこちらにお尻を向けて休んでいる。

十四年前、ぼくはたしか三日目の朝に、Tさんと二人でK戸へ向かった。リュックにいっぱいの物資を背負い、N北口からはひたすら国道を歩く。あのときに見聞きして考えたことは、当時使っていたワープロのフロッピーに記録してあり、たまにそれを読み返してみたくなることもあるのだが、ワープロが壊れてしまってもう見ることはできない。

もうひとつみた夢。亡くなったN瀬のおばあちゃんの家の近所で、僕は弟とともに文房具屋を探すのだが、昔あったはずの書店も文房具屋もなくなっていて、あるのは若者向けのお店ばかり、道も変わってしまったようだ。なぜかものすごい人手で、叔父さんといとこたちもいた。

十七日は三年前、僕らがうるの異変にはじめて気がついた日でもある。そして今日十八日の朝、うるは発作を起こし、一月半にわたる闘病生活が始まった。

今日は一日雨。けんこう兄弟は家の中で、元気にふたりで走り回っている。