東京へ

辞書と格闘するこう

土日は東京出張。十分余裕をもって起きるはずの土曜日であったが、気がつけばすでにギリギリの時間。目覚ましをセットし忘れたのと、Y子に時間を間違って伝えたのが悲劇の始まりであった。甘えてくるこうを片方の手でよしよししながらもう片方の手で大慌てで出張セットを準備して、どう転んでもバスには間に合わないのでタクシーを呼ぶが、これがこの日に限ってなかなか来ない。結局、予定していた地下鉄には乗れず、予約していた新幹線には4分の乗り換え時間しかないことになってしまった。もう心の中で泣きながら半分以上あきらめていたのであるが、それでもいちかばちか、車中では新幹線までの最短距離をイメージ・トレーニング、駅に着くやいなやもうダッシュで階段を登って改札を抜け、さらに階段を登って新幹線の改札前へ。幸い、切符は並ばずに受け取れ、長い階段をさらに二つ駆け上がってホームに出ると、ちょうど列車が入ってきたところであった。間に合ってよかったのであるが、これほど走ったのは何年ぶりだろうか、M原を出る辺りまで息切れがおさまらない状態であった。

さて、東京ではK駅前でU氏と待ち合わせ。だがここで再び悲劇が。何となく背広のポケットに手を入れると、あろうことか携帯灰皿の蓋が開いていて、ポケットの中が大変なことになっているではないか…。最近、蓋が閉まりにくいなあと思っていたのだが、そろそろ買い替え時か。

ともあれ、気を取り直してU氏と合流、さらにI氏と合流して密談を行なう。社会的なもののバリエーション、その実現と統治の様相などなど、長時間にわたり実に充実した集まりであった。夜は近くで鍋をつつきながらワインをしこたまご馳走になる。みなさま、ありがとうございました。これから面白くなりそうですね。しかし、東京は寒かったなあ。


日曜日、排水溝の点検があって、工事の人たちが何人か来ていたようで、帰宅するとけんこう兄弟があちこちふんふん点検している。Y子によると、工事の人たちが帰った直後は、それはもう大変な警戒振りであったとか。

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代表制の政治哲学』。ようやく読み終わり、ふたたび冒頭の議論へ。ゴーシェは、第五共和制下の憲法院の創設こそ、革命期の忘れられた第三権力の追求の構想の意味を再発見させるものだという。革命期の混乱と彷徨は、民主政=代表制を安定して機能させるための、立法権力、執行権力に並ぶ「第三の権力」の創設に向けて苦悶し、ついに挫折せざるを得なかった壮大な試みであった。第三権力の探求とは、主権者である人民にその権力の基盤を置く代表の行為をどう統制するかという問題であるが、代表を主権者と一体化せざるを得なかった革命期には、ついに解けない難問であった。代表制の本質は、代表と主権者を分離し、両者に距離を置くことによって、集合的な主体を可視のものにすることにある。主権は代表によって行使されるのであり、主権の本質は代表的なものである。民主政とは集合体による自身の統制の探求であり、その統制を実行するだけでなく、それを形象化することが不可欠である。第五共和政における代表制の変容は、人物に具現された執行権力(大統領制)、そして「世論」というメディアの発達によってもたらされた新たな審級の登場に裏打ちされた、第三権力(憲法院=違憲審査権)の設立にある。

別の言い方をするなら、主権の本質は代表的なものである――主権は代表によってのみ行使される。文字どおり誰も主権者になれない。もちろん人民の代表者も、人民もなれない。人民は永続性においてあらゆる点でみずからを凌駕する人民をほんのわずかのあいだ具体化するという資格でのみきわ出つにすぎない。これが憲法の番人による保護的な判決が指し示すことである――ただし尽きることなく揺れ動く世論の声も、これと別のことを指し示しているのではない。主権はしたがって代表者のみを認めるというにとどまらず、そのような事情そのものも代表=表象される。以上のようなことがらが、われわれの眼前で展開している代表制の機構の変容の意味である。

いまここにある「人民」(経験上の人民)もまた、過去から未来へとたえず生成していく超越的な「人民」(法律上の人民)の前では、それを代表する存在に過ぎない。いまここにある「人民」が真の主権者たる法律上の人民から権力を奪取してしまう可能性もあるのだ。

ゴーシェは第五共和制によって代表制=民主性が完遂されたといっているのだろうか。そういっているようにも思えるし、そうでないようにも思える。

統制の諸制度のもつ力が増大すれば、同時に政治生活では寡頭制が進行していく。世論と法の支配は、審議と政治決定の実質的な消失の心配なしにはすまされない。そうした状況が進めば、人民主権を表象=代表することは現実にそれを行使することのかわりとはならないのではないかと自問してみることもできるだろう。

うーん、難しい。結局、代表制とは何かという問いに、また立ち返らねばならないということか。まあ、今夜はビールも回ってきたので、このへんにしておこう。

てか、こういう理解でいいんですかね??

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眠っていたけんが起き出してきて、ほーわほーわと甘え鳴きしている。