何もしなくても、一週間なんて、あっという間に過ぎ去ってしまう。
金曜の夜のこと。珍しく電話をする必要があり、いつもの癖で台所の換気扇の下で煙草を吸い、その周囲半径30センチくらいの狭いエリアの中をうろうろ歩き回りながら電話をしていると、ちょうど居間の方から台所に回りこんできたけんと、出会いがしらにぶつかってしまった。話に気をとられていたので正確には覚えていないのだが、少し蹴っ飛ばしてしまったか、あるいはしっぽか何かを踏んづけてしまった気もする。けんは驚いて全速力で逃げ出してしまった。けんちゃん!とY子が驚いて駆け寄っていく。あっと思ったのだが仕事の話だったのですぐに切るわけにも行かず、型どおりの挨拶をして電話を終え、ようやくけんのところへ行く。ごめんごめんと撫でようとすると、また逃げ出してしまった。両耳が下がっていて、かなり驚いた様子である。なんとか追いかけて必死で謝り、よしよし撫でているうちに、ようやく落ち着く。Y子によれば、おやつにしようとふくらみながら(けんは嬉しいことがあると体をふくらませるように背中を持ち上げて歩く)Y子と一緒に台所に行こうとしたところ、急にはじかれたように驚いて逃げ去ってしまったという。なにか理不尽な暴力を振るわれたように感じたのだろうか。おおらかなけんは、すぐに許してくれたようであるが、そのときのことを思い出すたびにかわいそうでならない。
前回、けんはパソコン台の上にまだ2回しか乗っていないと書いた。が、不思議なことに、なぜかその後でやたらとけんがパソコン台の上に乗るようになった。いまやこうと交代で上っていて、もはやそれは日常の風景である。