といえば、『ヴァインランド』に猫が出てきたような気がして、ぱらぱらページをめくってみるがなかなか見つからない。何してるの、とY子。『ヴァインランド』に猫出てこなかったっけ? デズモンドでしょ、犬よ。すみません、犬でした。主人公のプレーリィが飼ってるムク犬のデズモンド。それにしても、何でこんなに読んだ本の内容を次々と忘れていくのだろう。一度読んだ小説のストーリーはほぼ完璧に覚えているY子に助けてもらって、少し思い出した。このデズモンドが登場するラストはなかなかにいいシーンだ。朝、森の中に横たわる少女と犬の姿が映画の一場面のようによみがえってきた。それにいたるまでの長い長いストーリーは、細切れのシーンとおぼろげな印象しか思い出せないけれど。
今日は午後から南大阪で打ち合わせ。なかなか楽しい話になりそうな雰囲気。S先生、ありがとうございました。その後、久しぶりにねずみ王国にも御伺いしようかと思ったけれど、王様が不在で退散。
引き続き、ギリシア。「トラキスの女たち」(ギリシア悲劇〈2〉ソポクレス (ちくま文庫))。ヘラクレスとその妻ディネイラ、ふたりの息子ヒュロスの、3つの視点から語られる複雑な悲劇で、結末のヒュロスの悲壮な叫びは、世界への呪いのようでもあり、あるいは諦めのようでもあり、胸をえぐられるほどに衝撃的だ。この先、ヒュロスはどのような生を生きていくのか。解題には、この作品の評価は種々に分かれるとあるが、たしかにどう解釈すればいいのか難しいと思う。しかし、この解題の結論、
要するにソポクレスはこの劇で、愚かしくも力強い男女の愛の力を、趣き深く示したと言うことができるのではなかろうか。
という解釈だけはちがうような気がするのですが、どうなんでしょうか。
といろいろ内容のないことを書いたけど、結局本題にいたらないままで今日は終わろう。新しい猫たちが来る前に、もう一度きっちりとうるの死のことを振り返っておかなければと思っているのだが、いつも、それをしようとして、できずにいる。
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