けんがいない。けんは病気の末期だが、他の猫たちと一緒に一泊の猫遠足に出かけている。けんがいなくてとても寂しい。けんはどうやって帰ってくるの? なんとか便でしょ。よく聞き取れなかったが、宅急便みたいなものかと僕は思った。気がつくと、すぐ目の前でけんがちょこんと休んでいる。けんちゃん! Y子と二人で撫でて抱きしめる。けんは、とてもかわいらしい顔をしていた。病気のときに遠足に出さなければよかったと思っていたけど、けん、最後に他の猫たちと交流できてよかったな。

 

翌朝、僕もY子も仕事で出かける。だが、途中でけんの薬を忘れていたことに気づく。大事な薬なので飲ませなければならない。仕事は遅刻してもいいや。一人で飲ませられるかな。とりあえず帰ってきて薬を探していると、なぜかY子が、ケージの一番下の段のようなところで眠っている。けんちゃんの薬忘れてたよ、と言ったところで目が覚めた。

 

けんはとてもかわいらしかった。ちょっとだけだったが、夢の中で会えてよかった。