闘病126目、そして…

Y子が仕事に出かける前、いろいろ話し合って、今日一日はゆっくりして、やはり入院させようと決めた。けんが生きる意志を見せている以上、あきらめるわけにはいかない。

 

しかし、けんは急に足にきたようで、立つのも難儀するようになった。動きたそうにしているのをお尻を支えてやると、なんとか立ち上がって、そのあともよろけて倒れそうになるので、そっと支えてやると、自力でトイレや好きなところに行く。ここのところずっと水槽前に陣取っていたが、トイレの帰りか何かのふとしたきっかけで以前にとても気に入ってた猫ベッド(ずっと居間のヒーター前に置いていた)に入り、ふかふかした感触が気持ちよかったのかちょっともみもみしたあと、丸くなって横になる。それからは、猫ベットにずっといた。ちょうど縁が枕にもなって、よく休めたようだ。たまに動きたそうにするので支えてやると、猫ベッドのすぐそばの座椅子裏に移動してまた休憩する。ここは風の通り道になっていて、ちょうど五月らしい爽やかな気候で、風が気持ちいのかなと思う。動きたそうにするときにお尻を持ち上げてやると、きゅっ、というような小さな声を出す。

 

動けなくなったのがちょっとショックで、夕方、病院に電話して先生と相談させていただく。入院させるなら早いに越したことはないが、もう一度Y子と相談してからにしてはどうかとのこと。今日は一緒に家で過ごすことにして、じっとけんを見守る。ごはんを持っていってやると、缶詰をけっこう食べる。

 

動きたそうにしたらすぐに支えてやろうとずっとけんが見える場所にいたが、ちょっと油断している間に、けんは見事に自力でトイレに行った。その後も自力で動いている。ちょっと持ち直してきたのかなとも思ったが、その次にはやはり立つのに難儀していた。できるだけよしよししてやる。けん、大好きだよ、いてもらわないと困るよ、家に来てくれてありがとう。しかし、それ以上言うと最後になってしまいそうで、怖くて言えない。

 

夜、もうすぐY子帰ってくるよと言うとけんは尻尾で返事して、ずっと待っているようだった。頑張ってトイレをしているときにY子帰宅。二人できれいにしてやる。けんも安心した様子で、猫ベッドで横になる。

 

今朝、心配でいつもよりも早くに目がさめる。トイレがしてあって、けんは自力でトイレに行ったようだった。僕を見ると自分で猫ベッドから出てくる。肉球をきれいにしてやり、点滴とセミントラ、食欲増進剤。しばらくして落ち着いてから猫ベッドに帰ったあと、動きたそうにするが自力では立てないので支えてやると、ごはんの近くまで行ってまた戻ってくる。食べたいのかなとごはんを持っていくが食べない。

 

今日休みだったY子によると、昨日までは足だけだったのが、今日は手にもきて自分では動けなくなったようだ。Y子がお祈りをしていると大きな声で鳴いたりしたようで、支えながらなんとかトイレに行くという状態だったという。もうだめなのではないかとも思ったが、缶詰をけっこう食べたらしい。夜、帰ったらけんは猫ベッドで休んでいて、ただいまと言うと尻尾で返事してくれる。想像していたよりも表情もしっかりしていて、意識ははっきりしている。けん、頑張ってるな。もうちょっと頑張ろうな。

 

昨日の先生のお話をふまえてもう一度Y子と話し合い、ほんとうにいろいろ考えた末、入院させることにする。けんは強い猫だ。かならずまた家に帰ってこれる。そう信じて病院へ行く。けんもすべてを理解しているようだった。けんよ、もう少しだけ頑張ろう。週末はかならず大好きなこの家で一緒に過ごそう。