塩見岳へ

塩見小屋から間ノ岳など

週末の連休はTさんと南アルプス塩見岳へ。テント泊一泊二日プラス温泉の山旅である。

金曜日。仕事を終えたあと、京都でピックアップしてもらい、名神・中央をひた走って松川ICから大鹿村へ。ここから真っ暗な山道に分け入り、何度か迷いながらも深夜3時過ぎくらいに駐車場にたどり着くと、想像以上にすでにたくさんのクルマが。何とかスペースを見つけて駐車するが、こんなに大勢の先客がいるとは思わなかった。まあ連休だからなあ…。それにしても、途中で鹿のカップルが飛び出して来たときには驚いたが、なんとかブレーキが間に合ってよかった。

土曜日は7時過ぎ行動開始。ここから登山口まで約1時間の林道歩きの予定が、途中で「登山口まで行くよー」と山仕事のおじさんのクルマに乗っけてもらうことができ、大幅にアプローチを短縮できる。おかげで三伏峠のテン場についたのは予定よりも大幅に早い午前10時30分。どうしようかと思ったが、明日に備えて鋭気を養うということで、ビールと持参した焼酎で午前中から宴会。そのあと酔いにまかせて昼寝をする。最初は良いお天気で、塩見岳がよく見えていたが、いつの間にかガスがかかり、夕方には少し雨も降った。あとで思ったけど、烏帽子岳をピストンしてもよかったかなあ。まあ、あまり欲張っても仕方がない。

翌日曜日。4時に起床すると満天の星空が迎えてくれた。食事をすませ、荷物はデポしてサブザックに食料と水、雨具と手袋、ツェルトだけを詰め、いよいよ塩見岳へのアタックを開始。5時半過ぎ、三伏山付近で夜が明け、爽やかな朝の空気を吸いながら、深い樹林帯の中をひたすら歩く。それにしてもさすがは南アルプス。2500〜2600m地点でも森林限界を越えず、奥深い森が広がっている。風景も実に山深い感じで、華やかな北アルプスとはまた違った味わいだ。

標高2700mくらいでようやく森林限界を越えハイマツ帯に出ると、めざす塩見岳とその前にそびえる天狗岩が眼前に迫ってきてなかなかの迫力。深田久弥はこの山のことを「漆黒の鉄兜」といったそうだが、それも納得の存在感である。

ハイマツ帯を少し登ると突然塩見小屋に出て、いよいよ頂上アタックのはじまり。露岩帯の急な道を登り、天狗岩を右に巻いてひと登りで塩見岳の頂上へ。塩見岳には西峰と東峰があって、西峰は3047m、東峰は3052mだが三角点は西峰にある。とりあえず少しでも高いほうへと西峰を通り越して東峰に向かい、午前8時30分、無事登頂成功。Tさんと固い握手を交わす。山頂からは、間ノ岳や甲斐駒、仙丈をはじめとする南アルプスの山並み、木曽駒はじめ中央アルプスの山並みと御嶽、それに先週登った北アルプス笠ヶ岳(たぶん)まで、見渡す限り山々が続く。ああ山深いなあ。

さああとは慎重に来た道を帰るだけ。と、頂上から少し降りたところで、上の登山者が起こした大きな落石がすぐ目の前を通過し緊張する場面も…。こういう岩場では落石を起こさないように気をつけるのはもちろん、起こしてしまった場合にはすぐにコールすることの大切さをあらためて痛感した。

のんびり歩いて12時半にはテン場に帰還。ここでコーヒーなど沸かして大休止し、4時には無事駐車場に下山した。さて、あとはふもとの温泉宿でのんびり宴会。のはずが、予約しなくても泊まれるだろうと甘く見ていたのが失敗で、3軒ある温泉宿はどこも満員。通りかかった観光案内所で近くの宿を教えてもらうが、これも軒並み満員で、さて困った。とりあえず入浴だけならOKという宿に向かって風呂だけすませ、いろいろ検討した結果、ここなら多分空いていると教えてもらったIC近くのビジネス旅館を目指す。ここがだめならどうしようというところだが、なんとか空いていてようやくこの日の宿を確保。近くの焼肉屋でビールを飲んで肉を食い、ついでにもう一軒あった居酒屋に遠征してしこたま飲む。温泉でしっぽり熱燗というわけにはいかなかったけれど、これはこれで面白かった松川の夜であった。

9月18日(土)
鳥倉林道ゲート7:15/鳥倉登山口7:35‐二つめのコル8:50‐豊口山分岐9:55‐三伏峠テント場10:30

9月19日(日)
三伏峠5:00‐本谷山(2657.9m)6:10‐塩見小屋7:30‐塩見岳(3052m)8:30‐塩見小屋9:35‐本谷山11:15‐三伏山11:55‐(水場往復)‐三伏峠12:30(大休止)1:20‐鳥倉登山口15:10‐鳥倉林道ゲート16:00

月曜日。昼過ぎに帰宅すると、いつもなら眠っているはずのけんこう兄弟が出迎えてくれた。待っててくれたのかなあ。毎週留守にしてごめん。