四日目、五日目、六日目

ふたりで休憩

金曜日は仕事を終えてから散髪屋に行く。骨折する前から髪が伸び放題だったのが、この騒ぎで延び延びになっていた。骨折後、「寄り道」をして帰るのは初めて。散髪屋の大将もギプスの経験があるそうで、いろいろ貴重なアドバイスをいただいた。

土曜日は日帰りで朝から名古屋へ。骨折後、初の出張である(日帰りだが)。新幹線で名古屋に降り立つまでは順調であったのだがが、地下鉄の切符を買うのに一苦労、電車も満員で腕をカバーするのに必死であった。

午前中ユーロ、午後は模索の、そのあいまに福祉国家の打ち合わせ。夜の部は大事をとってひたすらウーロン茶を飲みながら参加する。飲み会で酒を飲まないというのは生まれて初めての経験であったが、意外に違和感なくふつうに参加できた。

夜11時半くらいに帰宅。どっと疲れが出た。三角巾をとると腕がだるい。どうしようか迷ったが、缶ビールを少しだけ飲む。旨い。幸い、傷がうずくというようなこともなく、そのままお昼前まで熟睡。

たしか雨の予報だった日曜日だが、お昼近くに目覚めると良いお天気で、ようやく本格化した山の紅葉がきれいだ。だが、どうも左手の指に違和感があり、動かすと痛い。昨夜ビールを飲んだせいか、あるいは昨日一日中外出して無理をしたせいかと思い悩むが、Y子が心配するといけないのでなんともない顔をしてふつうに過ごす。しかしなんのことはない、ギプスにかぶせてあったネットがほんの少しだけずれていて、小指と親指を圧迫していたことに、夜、Y子が眠ったいまになって気づいた。ネットを戻すと嘘のように楽になる。ほんのちょっとのことでだいぶ違うものなんだなと、妙に感心する。

ネコのゴロゴロ音は傷を癒す効果があるんだよと、Y子がごろごろ言うけんを抱っこしてきて耳元で聞かせる。そういえば、そんな話を聞いたことがある。猫は自分が大怪我をしたときにもゴロゴロ音を発するというし。

けんのでっかいゴロゴロ音は、正確に言うとブププブパパという感じだが(こうは小さくプププ、プププ)、たしかに聞いていると嫌なことをみーんな忘れていくようだ。これからも毎日よしよししてやるからどんどんゴロゴロを聞かせてくれよな、けんこう兄弟。