祝日

シーツの上のけん

久しぶりに散歩でもしようと楽しみにしていた祝日であるが、朝から曇り空であるうえにいつまで待ってもY子が起きてこない。午後、ようやく起きてきたと思うと今度は雨が降り出してきた。そんなわけで朝から機嫌が悪い。こういうときは何をやってもうまくいかないもので、あるはずの本がいくら探しても見つからない。見つからないと思うと気になって、意地になってあちこちほじくり返してみるがどうしても見つからない。結局、時間を無駄に過ごすだけで、ますます悪循環におちいるだけだ。何か面白いことが始まるのかとけんとこうが代わる代わるやって来て、床に積み上げた本の山の中に顔を突っ込んでみるが、僕が機嫌悪そうなのがわかるのか、すぐにどこかに行ってしまう。

言い合いをしたわけではないけれど、なんとなく喧嘩をしたような感じになってしまって、Y子は自分の部屋に引き込んでしまう(仕事があるので)。喧嘩というのは体力の要るもので、夕方からどっと疲労感が押し寄せてくる。

まあしかし、けんこう兄弟が根気よく甘えに来るのが救いだ。いくら機嫌が悪くとも、ふたりが鳴いて呼びつけると、これはもう行ってよしよししないわけにはいかないのである。

ところで、Y子が休んでいたのは、前日も遅くなりいままでの疲れがたまっているのと、けんこう兄弟のご飯やらなんやらで早朝に起きたりしていたため久しぶりの休みくらいゆっくり寝ようということであって、散歩うんぬんも意思疎通の不足で僕がひとりで思っていただけであった。以上、本人の名誉のために補足します(身勝手なこと書いてすみません)。

海辺の光景 (新潮文庫)

海辺の光景 (新潮文庫)

「海辺の光景」「宿題」「蛾」まで読む。山と海で外界から隔てられた精神病院で、母の死を待つ九日間を描く「海辺の光景」。ラストがいいよな、少しぎくりとした。九日間の間、主人公の胸に去来するさまざまな否定的な感情は、それがよくわかるだけにかなり嫌な感情でもあるのだが、それらの感情が反転して押し寄せてくるリアルなラストであると思う。フロイトとか死への衝動とかは関係ないやろ、ようわからんけど。