汗疹

仲良く身づくろい

早朝、ものすごい雷鳴と土砂降りの雨の音で目を覚ます。ベッドから出ると、けんこう兄弟が廊下で驚いたようにたたずんでいる。昨夜は早く寝たこともあって、思い切ってそのまま早起きすることにする。そのぶんけんこうとも交流できるかと思ったが、なんとなくだらだらしているうちにいつもの時間になり、慌しく準備して出て行く羽目に。どうも時間の使い方がへたくそである。

昨夜はUさん、Oさん、およびスペシャルゲストのNさんとともに、H地区の気さくなフレンチでPKな一夜。異常に蒸し暑い日であったのでワインをがぶ飲みする。前回Uさんとこの店を訪れた時にはテーブルで煙草を吸えたのが、今回は室内禁煙になっていて中庭で吸わなければならない。この中庭がまた強力に蒸し暑く、Nさんとともに汗だくになりながら煙草をスパスパ吸って、戻ってはワインをがぶ飲みするのであった。

R大のリアルな内情を聞く。まあどこでも似たような話はあるのだろうが。しかし、この国はこのままでいいのか。

それにしても先週金曜日以来のこの蒸し暑さはどうだ。あまり人に言えた話ではないかもしれないが、この暑さのせいであろう、幼児の頃以来何十年ぶりかに汗疹ができてしまった。汗疹など子どものなるものだと思っていたが、M谷にその話をしていたら、今年は僕はまだなっていませんと言っていたので、かならずしもそうではないのかもしれない。

さて、汗疹といえば天花粉である。早速近所の薬局で購入しようとするが見当たらず、天花粉ありませんかと聞くとああベビーパウダーですねと答えられ、ああそうかこれは赤ちゃんがするものだなと急に恥ずかしくなるが、考えてみれば赤ちゃんの一人や二人いてもおかしくも何ともない年齢のはずであるので、内心の動揺を少しも出さずに堂々と購入する。そういえばまだ小さな子どもの頃、お風呂上りに母親にはたはたやってもらって、清潔な気分で清潔なお布団にくるまって、何の不安もなく安心して気持ちよく眠ったことを思い出した。ああそういう世界を忘れてもうどれくらいになるだろうか。家にかえるやいなや早速試してみる。けんこう兄弟が粉を吸い込むといけないと思ったので、お風呂場にこもって缶を開け、パフで皮膚に粉を塗る。子どもの頃のあの感覚がよみがえってくる。清潔な感触が肌に広がり、そのほのかな香りをかぐと、赤ちゃんからただようようミルクの甘い匂いような、なんともいえない懐かしい気持ちがこみ上げてくる。ああこの気持ちよさを子どもだけに独占させておく手はないだろう。と、ふと気配を感じて振り返ってみると、けんとこうが不思議そうな興味津々の表情で、並んでお風呂場を覗き込んでいたのである。

けんこう兄弟はお風呂に入って毛玉も解消、と最初は思ったのであるが、やはり毛玉の芯は残っていたようで、無駄な毛がなくなったぶん、小さな毛玉が目立つようになった。なんとかあと少し、この毛玉をほぐしてと思っていると、これがまたみるみる拡大していくではないか。とくにこうは脇のところの毛玉が拡大して痛々しい。一方、けんは今回は大丈夫と思っていたら、肩の下に少しできていることに今夜気づく。前回の経験から、毛玉は早めにほぐさないとどんどん拡大していくということはわかっていたのであるが、それにしてもこんなに進行が早いとは。また少しずつほぐすしかないにしても、いったい毛玉の予防はどうすればよいのだろうか。明日からまた試行錯誤は続くのである。