洗濯機

洗面台の上で

日帰りで東京へ。ユーロなメンバーで研究会。南欧とバルカン。しかし新幹線の中で食事を済ませておく予定だったのが熟睡してしまって機会を逃し、飯抜きで望んだため疲労度が濃い。一杯行くかと思ったが、また次回の楽しみにとっておくことにして本日は大人しく散会。朝昼はそれほどでもなかったのが、夕方外に出ると急激に冷え込んでいた。

何か食べて帰るかとも思ったのだが雪が心配でもあったので、そのままのぞみに乗る。帰りの新幹線で百輭先生の『東京日記 他六篇 (岩波文庫)』を読み始めるが、静岡に入ったかどうかというあたりで眠ってしまう。食べていないせいか、あるいは風邪っぽいのか、妙に寒気がして体がだるく、目がちかちかする。そのまま名古屋あたりまで熟睡。昔読んだときには気がつかなかったと思うのだが、震災の喪失感というのがこの人のテーマでもあるのだなと「長春香」とか「柳撿挍の小閑」とかを読んで思う。米原辺りはかなりの雪のようだったが、暗くてよくわからない。

夜、地下鉄の最寄り駅から地上に出ると雪。ところどころ積もっている。夕方くらいから降り出してきたらしい。帰宅してしばらくして外を見ると、すでに雪景色であった。急に寒くなったせいか、けんこう兄弟も眠っている。Y子も疲れたようで早寝。このあいだ聴いて感動したO.V.のInto Somethingを引っ張り出して聴いていると、ちょうど愉しみにしていたPrecious,Preciousのイントロのところで洗面所のほうから音がするので見に行くと、けんが珍しく洗濯機の上に乗り、何が気になるのか伸び上がって洗面台の上のほうを覗き込んでいる。撫でてやると気持ち良さそうにして、洗面台に移動してまた甘え、やがて飛び降りて走って行き、Y子の部屋で休んでしまった。僕は戻ってもういちどPrecious,Preciousを聴く。どういうわけか、けんもこうも寂しいときは洗濯機の上に乗る。僕らにはわからない、けんこう兄弟だけの理由があるのだろう。