ノラや

けんもほぼ全快

春のようなお天気。だが、日が落ちると冷え込んできた。

帰宅すると、今夜もY子は遅くなるようでまだ帰っていない。出迎えに出て来たけんこう兄弟と一緒に留守番である。けんがふわーっと鳴いて、走って甘えにやって来た。

ノラや (中公文庫)

ノラや (中公文庫)

泣けた。何という情感だろう。ノラのこともクルツのことも、その結末は何となく知っていたが、それでももしかしたら帰って来るのではないか、治るのではないかと期待を抱きながら、のめり込んで読んだ。「いい子だ、いい子だ、ノラちゃんは」と奥さんに合点のいかぬ顔で抱かれているという情景が、ありありと目に浮かぶ。人間はこうやって失ったものとずっと付き合っていくべきなのだ。Y子とうるのことを少しだけ思い出した。