毛玉(二)

けんです。

Y子のほうが上手にけんを抱っこできるので、最初はY子が抱っこして僕が毛玉をほぐすという分担でやり始めたのであるが、どうも僕は手先が不器用で、いったいいつになったらほぐれるのだろうと気が遠くなるほどであった。それを見かねたY子が、交代してみようと言う。けんをうまく抱っこしたままでいられるかどうか自信がなかったが、けんも自分のためだということが分かるのか、あるいは毛玉がほぐれていくのが嬉しいのか、やってみると意外にじっとしていてくれる。器用なY子はみるみる毛玉をほぐしていく。複数個所あったごっつい毛玉もだいぶましになってきた。後は小さなところが残るのみだが、根気良く毎日少しずつ続けていくしかない。


土日はK大で某研究会。新自由主義から金融革命、地方分権、環境問題まで、計15の報告を聴く。勉強になる。夜、調子に乗って二時まで呑んだのは不覚であったが。


ねずみ王様ご推薦のシャーマ本はすぐには入手できないようだったので、とりあえずミシュレフランス革命史〈上〉 (中公文庫)を読む。まずは三部会召集から球戯場の誓い、人権宣言、ヴェルサイユ行進、全国連盟祭、ナンシーの虐殺、ミラボーの最期まで。とても面白い。とりわけミラボーの死についての叙述には心を打たれるものがあった。ミシュレミラボー国民公会によって一度パンテオンから追放されたことはやむをえないとしながらも、いまなお(1847年)刑死者の墓地に埋められていることは許しがたいことだと抗議している。そしていつの日かこの偉大な人物がパンテオンに帰還する日が来るだろうと。その後、結局どうなったのか? いろいろ調べてみるがよく分からない。パンテオンには帰還していないようであるが。


けんの毛玉とりだが、こうが仲間はずれにされたように感じないか少し心配している。じっさい、毛玉とりの最中にこうのほうを見ると、少し離れたところでじっとしていて、少し寂しそうな表情のようにも見える。こうもやってほしいと思ってるんじゃないかなと言うと、ちゃんと言い聞かせてるから大丈夫だよとY子は言う。