留守番(三)

けんはキーボード大好き

昨日、留守番三日目の朝。前日も暑さと夜更かしのせいであまり眠れなかったのだが、何とか早起きしてけんこうのごはんの準備。しかし二人とも起きてはいるものの、すでにひと遊び終えたのか、じっとして休んでいる様子。すでに気温が強力に上がり始めていたので、冷房だけ入れてまた休む。しばらくして目を覚ますと、ごはんはほとんど手をつけられていないようだ。変だなあと少し心配になるが、こうはすぐにやって来ていつもどおりすりすり甘えてきたのでまあ大丈夫だろうと一安心。しかし、けんは玄関でうずくまったままじっとしている。ほんとうは朝からY子を迎えに名古屋に行く予定だったのだが、ちょっと心配なのでしばらく様子を見ることに。けん、だいじょうぶかと撫でたりしてみるが、目を閉じてどうも反応が薄い。夏ばてか、まさか熱中症ではといろいろ不安になりながら撫でたり見守ったりすること約1時間、突然、ぱっちり目を開いたかと思うと立ち上がって思い切り体を伸ばし、いつものようにふくらみながら甘えだした。どうも単純に眠かったようで、僕は取り越し苦労で睡眠の邪魔をしていただけのようである。ともあれ、ようやく安心して名古屋行きの準備にかかる。それにしても暑い。クーラーがきかないほどのすごい暑さだ。この暑さの中、けんこう兄弟をおいていくのは少々不安である。Y子を迎えに行ってくるよ、気をつけて待っててよと何度も言い聞かせて、玄関を出て鍵を閉める。しかし冷房の設定が失敗していないか不安になり、すぐに家に戻って確認。ごめんごめん忘れ物したよ。今度こそ行ってくるよ。まずは近所の漬けもん屋でお土産を買う。ところがそのあいだに今度は窓の鍵を閉めたかどうか不安になり、買い物をすましてふたたび家に戻る。ごめんまた忘れ物だよ。じゃあほんとに行ってくるからね。どうも心配性でいけないのだが、窓の鍵はやはり閉め忘れていたので、あながち無駄に戻ったわけではない。まあ最初からすべてきっちりやっていけばいいのであるが。行ったと思うと何度も戻ってきてはまた出て行って、けんこう兄弟は不思議そうな顔をしながらそのたびに見送ってくれた。

そういうわけでようやく昼過ぎに出発、渋滞を避けて16日の早い時間にしたのであるが、やはりそこそこに渋滞していて疲労困憊で名古屋に到着。名古屋はこの日39度を超えていたようで、ものすごい暑さである。少し仮眠して京都へ戻る。帰り着いたのは、結局、夜9時であった。

さて、Y子とともに帰宅すると、けんもこうも大喜びで興奮気味である。とくにけんは、Y子の留守中には見せなかった元気さで、猫タワーによじ登ったり、あちこち走り回ったり。ああ表情も活き活きとして昨日までとは違うよう。猫は見た目ではあまり感情はわからないとよく言うけれど、昨日のけんだけは明らかに嬉しそうであった。二人とも興奮したのか、いつもとちがって遅くまでずっと起きて僕らと一緒にいる。よかったな、けん、こう。