その後

けんです。

Tさんが帰った翌日、僕が仕事から帰宅すると、「こう」はいつものように迎えに出てきたのだが、「けん」は廊下の向こう側から顔をちょこんと出し、こちらを心配そうにうかがっている。靴を脱いで廊下を歩き出すと、「けん」は驚いた顔でいつでも逃げだせる体勢をとって身をかがめる。最終的には、ベッドの下にもぐりこんでしまった。その日、僕はたまたまいつものとは違う大きなカバンを持っていっていたのだが、それが誰か人間に見えたのか。あるいは昨日僕がTさんを迎えに行ったので、また誰か知らない人を連れてくると思ったのか。いずれにしても少しショックだ。ベッドの下を覗き込んでよしよしすると安心した様子だったので、僕を警戒して逃げたのではない、と自分とY子に言い聞かせる。しばらくすると「けん」も出てきて、みんなで居間でくつろぐ。

来客のショックも薄まり、みんながそれを忘れかけてきた今朝のこと。宅配便のお兄さんが荷物を持ってきた。けん・こう、いつものようにふるふる玄関までお兄さんをお出迎え。荷物を受け取って、お兄さんは出て行き、ドアが閉まる。するとどうだろう、「こう」は玄関のドアにつかまって伸び上がり、にゃーと一声鳴いたのである。いつもY子がちょっと出かけたようなときに「どこ行くのー」とにゃーと鳴くように。「こう」はお兄さんに入ってきてほしかったのだろうか。またお客さん来てくれるから楽しみにな、こう。

しかし、「けん」も「こう」もこの数週間でまた大きくなった気がするのだが。