扇を抱える「けん」

おもちゃと言えばY子が大切に引き出しにしまっていた扇があって、引き出しを開けるたびにけん・こうが関心を示していたのを、これだけは大事なものだから駄目とずっと遠ざけてきたのであるが、去年の夏頃、ついにけんがこれを奪取、くわえて駆け出して夢中で遊ぶのを見て、ついにY子も観念したらしい。それ以来、けんは扇を袋に入れる気配を察知すると、どこにいても眠っていてもぱっと駆けてきて大喜びで遊ぶようになった。袋は紐をかけて締めるようになっているのだが、これを手と足と口でそれは器用にはずしていき、最後には扇を袋から取り出す。見ていると、扇がくるくると宙に舞って、まるでけんが踊っているみたいだ(動きが早すぎてうまく写真がとれないのがもどかしい)。一方、こうは長らくこの扇に関心はあるのだが少し怖いようで遠めで見守るという感じだった。それが去年の暮れくらいから、ようやくおっかなびっくりタッチするようになり、最近では普通に遊ぶようになったのだが、とはいえ、けんのように紐をはずしたりはせず、転がして遊ぶ程度で、最終的にはけんが紐をはずすのを見守っている。こうが得意なのはボール遊びで、ボールを放り投げるとジャンプして飛び掛ったり、ダッシュで追いかけたり。けんはたまに思い出したようにとびかかってくるが、基本的にはこうの遊びを見守っている。