猫草の運命

しかし一度覚えた猫草の味は急にはやめられないようで、テレビの上が死角になってて見えないようだったのでとりあえずそこに隠して安心していたのも束の間、ぼくらがそこに置いたのをこっそり見ていたようで伸び上がって覗き込んだかと思うとすぐに発見、あっという間に飛び乗ってむさぼり始める。やがて猫草はテレビ上から落下。散々食い散らかされた上に落下の衝撃で見るも無残な姿に。これまで度重なる攻撃にもじっと耐え、そのつど復活し、強靭な生命力を見せ付けてきた猫草ではあるが、根っこから完全に穿り返されてはもうこれで終わりか。実は僕は子どもの頃からこういう草のたぐいが好きで、昔、グッピーを飼っていたときも、魚そのものよりも水草が繁茂するのに喜びを感じていたほどである。今回も日に日に草が生長していくのを楽しみにしまだ育ちきっていない段階でもう食べるかなあと試しにやってみたのがしかし運の尽き、わずか2日とちょっとで文字通り根こそぎやられてしまった。まあ猫草は買ってきて種まいて置いとけばあとは特に何もしなくてもすぐ成長するのだが。しかし、けんを寄せ付けず草をむさぼるこうの姿はなんともたくましい。けんはこうが飽きてきてからそれとなく入ってきて食べ始めるのだが、これが不器用なのかなかなかうまくいかない。でっかい手でいっしょうけんめい草を押し付けては噛み千切ろうとするのだがなかなか口に入れることができず、落ちたやつを口に持っていってやると咥えるがすぐに落としてしまう。頑張って食え、負けるな、けん!