朝の日課


けんは毎朝6時15分から30分くらいの間に目覚めるようで、鳴いて僕を起こしにくる。ただ、不思議なことに、枕元か近くまできて起こすのではなく、廊下や洗面所、台所のあたりでにゃーにゃー鳴いているようだ。鳴き声もふだん呼ぶときには甲高いやさしい声なのだが起こすときは野太い低い声でウニャーオというように鳴く。雨の日などたまに起こしにこないこともあるが、そんな時は静かなのでかえって目が覚めてしまう。

それからけんはごはんを食べて転がって甘えたりヒーターの前で温まったりしているが、僕がシャワーを浴びているあいだはわざわざY子の部屋(けんの寝室)に戻って休んでいるようだから不思議だ。そして僕が風呂場から出てくるとまたやってきて甘える。

鳴くというと、なぜかけんは洗面所の前あたりで上を見ながら、僕たちを起こすときと同じ声で鳴くことがある。もしかしたら、こうの気配がするのかなとも思うが、洗面所の横のお風呂場のあたりはうるが最後の日々を過ごした場所なのでうるなのかもしれないし、あるいは全然別のことなのかもしれない。

節分の前後


2日はY子の誕生日なので、今年はKT地区のイタリアンレストランを予約した。こうが亡くなってから一度訪れた、猫好きのご夫婦がやっているお店である。例年のようにY神社に節分のお参りをしてから食事という計画である。今年は久しぶりに(十年ぶりくらい?)プレゼントも奮発し、準備も万端のはずであった。

ところが、余裕を見て早めに出かけたはずのY神社で、ちょうど追儺の儀式にかち合ってしまって本殿前で身動きが取れなくなり、結局ギリギリの時間となり、慌ててタクシーに乗り込んで少し遅れてようやくレストランに着いて一安心。と、ここでなんとタクシーに携帯を忘れてしまい、精神的に持ち直すまでやや時間を要することに……。また、悪いことは重なるもので、治りかけていた風邪が寒空のY神社で立ち往生していたせいか悪化し、体調も今ひとつでせっかくの食事だったのに残念なことになってしまった。プレゼントを喜んでくれたので良かったけれど、せっかくだったのにすみません。なお、携帯は翌日すぐに戻ってきました。

4日、買ってきた豆で一日遅れで豆まきをする。けんは豆まきをすごく怖がる(こうもそうだった)。子猫時代のように驚いて走って逃げるということはなかったけれど、今年も、豆まきの間、安全なところに隠れていた。

節分の前の週末のこと。些細なことでY子と少し喧嘩をしてしまう。けんは雰囲気を察知して一時避難。そのあと、居間で一人でじっとしていたら、だいじょうぶですか?というように、けんがそーっと心配そうに覗き込んでくる。けん、ごめん。すぐに仲直りします。けんのためにも喧嘩をしてはだめだとあらためて思った。それにしても、猫はなんと賢い生き物なのだろう。それに引き換え人間はなぜ何度も同じ間違いを繰り返すのだろうか。

1月に入って何度か大雪が降る。子猫時代にはどんだけ寒くてもじーっと窓辺に佇んで外の観察を怠らなかったけんだが、最近は雪にも特に驚くこともなく、たまに物見台に登って窓を開けてくれと言ったかと思っても、寒いのかすぐに降りてきてヒーターに張り付いている。そういえば、以前はこうが寒がりでヒーターに張り付いていたのだが、最近はけんはこんなに寒がりだったかと思うほど、ヒーターの前でじっとしている。前はこうに遠慮していたのかもしれないな、とも思う。しかし、そんな寒い日々がようやくひと段落し、まるで春のように暖かい土曜日となった昨日は、けんはしばらくぶりに南側と北側の二つの窓から外をじっと眺めていた。気分がいいのかなと言うと、家族が揃っているから嬉しいんだよとY子。

少し早めの誕生日のお祝いにと、けんこう兄弟の写真が入ったロケットキーホルダーをプレゼントしてくれた。最初は正直悲しくなるのにと思ったけど、毎日身につけているとじわじわ効いてきて、喜びというか、ずっとけんこう兄弟と一緒だというような暖かい気持ちに包まれるような感じになってきた。ポケットを探ればいつでもこうに会える(けんにも)。ありがとうY子。ずっと身につけて大事にします。

新年


その後、あっという間に休みに突入したかと思うとあっという間に年が明け、帰省で名古屋に神戸にと移動しているあいだにあっという間に正月休みも終わった。とはいえ、帰省以外はおうちでゆっくり過ごし、けんとも交流できた休暇であった。

元旦の朝、荷物が届いて正月早々なんだろうと思ったら、年末に頼んだ猫じゃらしセットであった。けんお気に入りの猫じゃらし(こうもお気に入りであった)がボロボロになってきたので新しいセットを注文したのである。知らなかったのであるがこの猫じゃらしには4種類あって、今までうちにあったのは「ハチ」という種類だったようだ。今回、とりあえず「魚」というのを取り出してみたら、けんがいたく気に入って、もうそれこそ何年も見たことないくらいの、子猫時代以来ではないかというほどの興奮で飛び跳ねて猫じゃらしを追って遊ぶ。疲れても少し休んでまた遊んで、少し心配になるくらいであった。ところで、不思議なことに、けんはあれほどY子になついているのに、Y子とは猫じゃらしで遊ばないのだという。こうが亡くなってから特にそうなのだが、けんはどうも僕のことを兄弟的な、遊び相手とみなしているようである。だから僕に対するのとY子に対するので甘え方が違うとY子は言う。たしかに、起きてきてにゃーと僕に声をかけてくるときなど、「あそぼー」と言っているように思えることもあり、転がっているのを撫でてやっているときも、僕の手にじゃれついてこようとすることもある(Y子にはいっさいないらしい)。こうが元気なときは子猫時代ほどではないものの、それでも時にはふたりでじゃれあったり追いかけっこしたりしていたので、けんも遊び相手がいなくてやはり寂しいんだろうなあと思う。家にいるときにはできるだけ遊んでやろうと思う。

お正月には名古屋と神戸でご馳走をいただき、名古屋では猫のくろちゃんと交流、神戸では高1の甥っ子と数学や英語の勉強を一緒にして楽しく過ごした。

そういうわけで、けんとY子と三人の2017年は始まった。4日はこうの半年目の月命日でY子と二人でお経をあげる。手を合わせていてふと目を開けるとけんが目をぱちくりして僕をじーっと見つめていて笑いそうになった。お経が終わるとふにゃーと言って甘えてくる。しかし、もう半年経ったんだなあ。最近は、こうが発症した翌日の朝、Y子の部屋のコーナーの隙間でしんどそうにうずくまっていたことが思い出されてならない。

いろいろあるけど、健康で平穏に過ごしていきたい。

誕生日


20日はけんの11歳の誕生日。毎年ケーキを食べて(人間が)お祝いしてきたのだが、今年はあいにく職場の忘年会に重なり、またY子も仕事で遅くなるというのでどうしようかと言っていたが、毎年やってきたことだし少しだけでもやったほうがいいだろうと、Y子が帰りにケーキを買ってきて、深夜ささやかなお祝いをした。

いつもは特別に「けんこう兄弟お誕生日おめでとう」と書いてもらったケーキを注文していたのだが(昨年はY子がケーキを作った)、今年はできあいのものでローソクを11本立て、けんを連れてきて記念撮影。ハッピバースデーの歌を歌ってローソクの火を消し、人間がケーキをいただく。こうして、けんひとりだけの誕生日のお祝いは終わった。けんにしてみれば、毎年何やら無理やり抱きかかえられて写真を撮られ、妙な歌を聞かされる変な夜と思っているかもしれないが。

こうがいないのは残念だが、それでも少しだけでもお祝いをしてよかったと思った。けんがこれからも元気で長生きして、家族三人で平和で楽しく暮らせますように。

月命日とその後


その後、けんの口の傷はきれいに治り、再発の兆しもない。というわけで結局アレルギーでもないようで、たまたま抵抗力が落ちていたということなのだろうか。ともあれ、完治してよかった。本猫はいたって元気で、毎朝全力で甘えてきます。

12月4日はこうの5ヶ月目の月命日。いつものようにY子がお経をあげ、二人で手を合わせる。亡くなる前夜、こうが涙を流していたことが忘れられない。無念なことであっただろうと思う。

今度は口に…

その後、けんの耳はきれいに完治したのだが、14日の週の初めくらいからか、今度は右の口もとに大きな掻き傷を作って、なかなか治らない感じなので19日の土曜日に再びM動物病院へ。検査の結果、皮膚炎の可能性は薄く、やはりアレルギーの疑いが濃いとのことで、一週間ほどステロイド抗生物質を投与することとなった。体重も春には6.55キロだったのが6.1キロと減っているようで、心配である。一度血液検査した方がいいかもしれませんねと男先生。

前回のお薬は非常にうまく飲ませられたので今回も大丈夫かと思いきや、なぜか今回はうまくいかない。飲ませても吐き出してしまい、一度失敗すると飲ませる側にも焦りが出るのかなかなかうまくいかない。言うまでもなく一発で成功させた方が本猫の負担も少ないのだが、今回はなかなかかわいそうであった。

それでもなだめすかせてお薬を飲ませて一週間。傷はようやく治ってきたが、薬が即効きいたという感じでもなく、アレルギーというわけでもないのかなあ……。カリカリも変えてみたのだが食べないので元に戻す。これで再発しなければいいのだがと言っていたところ、今日は左の頬に小さな引っ掻き傷ができていた。せっかく治ってきていた口の傷もまた掻いてしまったようでまた赤くなっていて、うーむ……。傷自体は大したことないし、本猫はいたって元気なのだが、もうしばらく様子見である。